利益の種類~経常利益をケイツネって言うとモテるかも~
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最終更新日:2014/01/28
税務と会計
消費税の計算方法(ざっくり知りたい人用)の続きです。
少し消費税と話はそれますが、利益の種類についての話です。
利益について説明する時ボクは5つに分けていつも話しています。
・粗利
・営業利益
・経常利益
・税引前利益
・純利益
なんじゃこれ?と思うかと思いますが、利益は式でいうと、
売上-経費=利益
という式になるかと思います。
その中でなんで5種類かというと、この「経費」の種類によって利益が異なります。
異なるといっても全ては流れの中でつながっています。
連式で行くと、
売上-経費A=粗利
粗利-経費B=営業利益
営業利益-経費C=経常利益
経常利益-経費D=税引前利益
税引前利益-経費E=純利益
つまり売上という大きな全体のお金から、
まず最初にこの種類のお金を引いて残ったのが粗利
次に粗利として残ったお金からこの種類のお金を引いて残ったのが営業利益
・
・
・
最終的に残ったのが純利益
ってな具合です。
説明するために具体的な数字をあげます。
ストーリーとして今期の売上の合計が1000万円。
その内訳は、100万円の宝石が10個売れた宝石販売店さんのお話です。
※わかりやすくするためにすべて全く同じ種類の宝石です。
順番に、
=======粗利=======
粗利(あらり)って会計用語ではなく結構普通の会話の中にも出てきますよね?たまーに間違って使っている人もいますけど。
これは原価、つまり実際に売った商品の値段から仕入れた値段を差っ引きます。
連式でいう経費Aは原価になります。
ややこしい言い方をすると原価のことを、
売上に直接的に関わる費用なんて言ったりします。
なんでそんなややこしいことを言うかというと、商業の世界と工業の世界で違うからです。
今回の宝石店のように小売の場合は純粋に商品の仕入れ値で良いのですが、
例えば製造業なんかの場合、
原材料の仕入れ値はもちろんこれを加工する工場で働く従業員の人件費もこの原価(すなわち粗利の計算)に入れたりするからです。
わかりにくいかもしれないので、このことは営業利益で追って説明します。
とりあえず、今は売るための宝石を仕入れた時の金額を原価と考えて下さい。
この宝石は1個40万円で問屋さんから仕入れました。
最初に話した通り、全部で10個売れました。
すると年間の原価の合計は400万円で、粗利は600万円ということになります。
粗利に関していえば、「粗利率」という言葉があります。
お分かりかと思いますが、この宝石の粗利率は60%(反対に原価率は40%)ですよね。
この粗利率は「商品力」の指標として使ったりします。
粗利率の高い商品は「強い商品」=「1個売れると沢山利益が出る」といったイメージです。
強いという表現ですが、仕入れ値にこんなに上乗せしても買ってくれる=魅力があると解釈してます。
「商品力」という言葉は会計の世界には明確な定義はありません。そして「粗利率」=「商品力」でもありません。
「商品力」の要素には粗利率以外に「回転率」なども含んだりします。ざっくり言って沢山売れるかどうかってことです。
粗利率が低くても回転率が高いので商品力が高いものももちろん沢山あります。
「餃子の王将」の餃子なんか粗利率は低いと思いますが、回転率はべらぼうです。だから商品力は非常に高い商品でしょう。
いわゆる「薄利多売」ってやつです。
=======営業利益=======
今の状況を確認すると粗利として600万円残っています。
ここから引く経費Bのことを販売管理費(販管費)と言います。
先ほどの原価に対して、
売上に間接的に関わる費用です。
これは宝石店の定員さんの人件費などは代表的ですし、
・宝石を売るために作ったチラシ代(広告宣伝費)
・お客様の問い合わせに対応するための電話代(通信費)
・出張の時の費用(旅費交通費)
などから
・上客にごまするための費用(接待交際費)
・社員旅行代(福利厚生費)
など様々です。
この宝石店は販管費の合計400万円なので、
粗利600万円-経費B(販管費)400万円=営業利益200万円
ってな具合です。
で、さっきの製造業の話で行くと、
工場で働く従業員の人件費→原価
製造物を売る営業マンの人件費→販管費
これでイメージがつきやすくなったでしょうか?
もう一つだけ。
東電の問題で電気代の計算の原価方式についてちょっとこれ読んでみて下さい。
我が国では電力のコストは電気事業法という法律に基づき、「総括原価方式」という方法で計算されています。
この方式は、発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決めるやりかたです。
で、その原価計算に接待費や社内サークル活動費もいてれいたなんて言われてます。どう考えても販管費ですよね?というのが理解できたら、ワンランク上の東電批判ができますよ!って話です。
=======経常利益=======
経常利益です。よく「計上」利益(一般的に使うときはあるけど会計用語にはありません)と区別して経常(ケイツネ)なんて言ったりします。
「やっぱり経営状況の判断にはケイツネだよね」なんていうと素人には格好良く見られます。
でも上の言葉をそのままいうと玄人には「何当たり前のことドヤ顔で言っとんねん」って馬鹿にされます。
今の状況を確認すると営業利益として200万円残っています。
で、ここから経費Cを引きます。
経費Cは営業外費用と言われるものです。
営業外費用とい名前からわかるように本業ではないものでの費用(経費)です。
さっきの営業利益がいわば「本業での利益」に対してこの経常利益は「本業以外も含めた利益」です。
更にここの部分で金額が増えることもあります。これを営業外収益と言います。
代表的なのが「受取利息」や「支払利息」です。
銀行の預金で利息が増えていたり、銀行からの借入に対して利息を払ったりしたときはここの部分に含みます。
あと、自社のホームページに貼っていたアフィリエイトなどの広告収入もここで入れたりします。
これを雑収入として、本業の売上と区別したりします。
※本業の売上と比べてあまりにも額が大きかったりするときは、どう解釈するかは難しかったりしますが。
他にも会社で持っていた株に損や利益が出たときはここに入れます。(有価証券売却益(損))
※ファンドなどは逆にこれが本業なので、ここではなく営業利益になりますね。
で、計算した結果、営業外費用と営業外収益の差額が-50万円だったので
営業利益200万円-経費C(営業外費用)50万円=経常利益150万円
=======税引前利益=======
現時点で経常利益150万円です。
ここで引く経費Dは特別損失(利益)です。
これはこれまでに含まれない費用です。特徴は突発的なって部分です。
これの一番有名な話では災害損失などです。
ここまで触れて来ませんでしたが、なんで利益をこんな風に分けるのかという理由です。
まずこの利益を把握するという行為を誰のためにやっているか?
これは、
・自分(経営状態の把握)
・銀行(お金を貸すかの判断)
・投資家(投資するだけの将来性があるか)
・税務署(納税のため)
です。
商売は凄いうまくいっていた、順調に儲かっていた。
でも、大震災で建物がぐちゃぐちゃ。その修繕や復旧作業で結果的に大赤字です。
そんなときその会社を正しく評価するにはどうすればよいか?
それじゃあ、こういった不慮の事故はそれ用のパートを設けて、それ以外の部分で評価をしよう。
税引前利益では大赤字だけど、経常利益はちゃんと出ている。
ならこれから
・自分
→復旧まで頑張れば立て直せる!
・銀行(お金を貸すかの判断)
→貸し倒れはしないかも
・投資家(投資するだけの将来性があるか)
→将来性はあるので投資してみよう
などの判断ができます。
更に、
・粗利は大きいから商品力は悪くないけど、営業利益が低い(販管費が高い)ので、そこで経費を削れば利益が十分出る。
・営業利益が出てるけどケイツネが微妙。何かダメダメな株持ってんじゃないの?
とかのためにあります。
で、今回は特別損失は無かったので、そのまま
経常利益150万円-経費D(特別損失)0円=税引前利益150万円
=======純利益=======
これはさっきのパートの税引前利益に対して税引後利益といったりします。
もう説明不要ですね?
税引前利益150万円-経費E(税金)45万円=純利益105万円
※税率は30%で計算してます。
一応これで終了です。てか長すぎてこれ最後まで読んだ人逆に尊敬しちゃうかも。
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