人生初のグローブの湯もみ型付けをやったった

高校の時に野球部に入っていました。

その時、親に買ってもらったグローブなんですが、高校の時は補欠の補欠だったので一回も試合で使えなかったです。

かなりの親不孝です。

そのため、ほとんど新品の状態で残ってました。

それから約10年、ほぼ新品の状態のグローブを草野球で使おうと思ったのですが、やはりかなり堅くてとても使えません。

そんな時、「そうだ。湯もみ型付けをしよう！」と思い立ちました。

依頼したのはネットで探した型付け工房さんというところです。

野球経験者なら一度は聞いたことがあるかと思いますが、湯もみ型付けとは、新品の堅いグローブをお湯につけて柔らかくして短時間で使いやすくする手法です。

※古いグローブでも型の矯正などで行われたりします。

湯もみが流行しだした頃には、間違った知識や方法も同時に出回りかなり賛否が別れていました。

しかし、最近では湯もみに関しては比較的肯定的な意見が大半で、湯もみを全否定する意見は少数派です。

そもそも湯もみという手法は、久保田スラッガーというメーカーの江頭重利さんが考案したと言われています。

スラッガーに湯もみのイメージが強いのはその為ですね。

以下の動画は江頭さんが、テレビ出演した時のものです。（そのうち削除されちゃうかもです）

湯もみ否定派の意見は主に下記の2つです。

◆革に水分は大敵なので、劣化し寿命が短くなる。強度が弱くなる。

◆自分に合ったグローブの型は千差万別で、湯もみ型付けをした他人の型になってしまう。

一つ目の革の劣化については、確かにその部分は否定できません。

しかし多くのプロ野球選手が湯もみされたグローブを使用して行く中で、統計的有意な寿命の短縮がどの程度見られるのかなどの実証実験は可能です。

「プロは毎年グローブ買い換えるので関係ないじゃん」的な意見についても一般ユーザーの意見などを整理して自分でこれくらいの寿命の劣化なら関係ないと思えばGOになります。

また、スラッガーについては湯もみをすることを想定して革を選んでいます。最近のミズノなんかも湯もみ職人さんたちの話では比較的湯もみに向いている革質と言われています。
※昔は相性よくなかったっぽい。

更に湯もみしたグローブに適したオイルなんかも売ってたりします。

ボクの個人的な見解では多少寿命が縮むことはあるかもしれませんが、本来なら10年つかえるグローブが5年で使えなくなるとか極端なことにはならないんじゃないかなって思います。

2つ目の「他人の型になってしまう」という反対派の意見です。

江頭さんの動画を見られた型は、もうお分かりかと思います。

「他人の型になってしまう」に対する答えは「その通りです」です。

詳細は江頭さんのもとで修行した方が店長さんのフクヤスポーツさんのサイトに松井稼頭央選手のグローブを元に説明しています。

ボールを捕球するところをグローブのポケットと言います。

通常ポケットはウェブと言われるグローブの網のところとグローブ本体の間くらいです。（画像参照）

これはこの部分が一番ショックを吸収して、ファンブル（ボールを弾く）しにくくなるからです。

しかし松井稼頭央選手の使い古されたグローブは捕球跡が丁度グラブの中心について真っ黒になっています。

これを湯もみ型付けでは「手のひら捕球」と表現しており、一番捕球感が良く素手で取る感覚に近いため良いとしています。

更に、この部分がボールをキャッチしてから、送球する方の手に持ち替えるのが早いので、取ってから投げるまでが早いです。

つまり湯もみの一番の目的はこの一番良いとする「手のひら捕球」の型に矯正することとも言えます。

この「手のひら捕球」の捕球面の持ち替えの早さは、湯もみが流行する以前からよく言われておりました。

しかしボールに対して深さが無いため、ファンブルし易いことから「当て取り」「土手取り」などと言われて、あまり良い取り方とはされてきていませんでした。

※「当て取り」はうまい人がやる職人技というイメージもありますが。

そこで、江頭さんは、

「取ってから早いけど弾きやすいからダメなら、弾き難くしてやれば最強じゃね？」

と思って、この湯もみ型付けを考案しました。

実は江頭さん、動画でも紹介されてますが野球経験は全くありません。

いわば野球の素人の素朴な発想から生まれたこの湯もみが、今では多くのプロ野球選手に愛用者が出るほど、野球界に大きな変革をもたらしました。

なまじ野球の知識があると、「捕球はポケットでするもの」という固定観念が染み付いてなかなかこういう発想は生まれません。

これは実に良い教訓ですね。

何か新しいことを生み出すときに先入観や固定観念ほど邪魔になるものはありません。

決して素人の意見とないがしろにすること無く、あらゆることに耳を傾けるべきでは？

というお話でした。

ちなみに、ボクの湯もみして貰ったグローブの画像を少し。
※あんまりビフォーアフターで見た目はほとんど変わってないのでアフターだけ。。

注）ちなみに、自分でする型付けをする楽しみを否定するわけでは無いので。ボクも好きですし。